オリジナル選手

【兵は神速を尊ぶ】

「7回あたりから気になるんですよ。あの2人の代走がベンチ前でこれ見よがしにアップするんです。」

優勝争いをするライバルチームの監督の言葉である。



一人目は【疾風破壊】と呼ばれた快速選手。

「小さい頃から走るのだけは速かったんですよ。どうやら家系みたいで、兄貴も走るのは速かったし、甥も速い。何よりも父親が陸上選手だったから、その遺伝子が自分にも引き継がれているのかもしれないです。」


ルーキーイヤーの恒例の新人体力測定で50メートル走をぶっちぎった社会人卒の彼は記者にそう微笑んだ。

身長170センチの小柄だが、その引き締まった体には無駄な脂肪はなく、まさに全身がバネのよう。

高校野球では機動破壊野球として、社会人野球において都市対抗野球の優勝チームのメンバーとして…

その韋駄天で数々の栄誉を手にしたが、打撃はプロでは通用しなかった。

アマ時代から叩きつける打撃で転がして出塁するスタイルがプロの一線級相手では難しかった。

二軍でも打率は2割ギリギリ…それでも彼は優勝争いが激化する8月から一軍に呼ばれる。

出場は代走のみだが、最初の11試合に出場し、わずか2打席しか立っていないが、5盗塁5得点の快速っぷり。

一塁から二塁への到達は3秒である。

ちなみに打撃はさっぱりなのだが、守備に関しては器用で捕手以外ながら全てのポジションを平均レベルで守れる。

打撃さえよければ…



二人目は【最大の防御は防御】

外野手守備のスペシャリスト。

高校までは投手だったが、プロ入り後は外野手に転向する。

打球判断と空気の流れを読むことに長けた彼はたちまち外野守備で一目を置かれる。

天才と呼ばれたスイッチヒッターの山本明仁を終盤下げてでも彼をセンターの守備固めに使った。

外野を抜く打球を捕るのは勿論、東京ドームのフェンスを脚力で駆け上りホームランボールを捕ったした化け物である。

【彼1人で外野手は十分】【この矛楯は盾の方が強い】様々な表現で評される。

盗塁も抜群で、控え外野手でありながらシーズン36盗塁をやってのけた。

守備と走塁に関しては度胸と言う彼であるが、打撃も度胸で通算ホームランは6年間で僅か3本だが、その全てが抑え投手から放った起死回生の一発である。

「盗塁のコツ?タイミングとハートですよ!」

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漆さんLOVE
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